2017年11月13日月曜日

[おとなのセンキョ割] センキョ割@葛飾の準備を終えて




11月6日月曜日。 この日はポスターを届けに、亀有にむかっていた。

空気は冷たく、冬は目の前だった。 

亀有新道を北に走るオレンジ色の僕のチャリを、一台の候補者の選挙カーが追い抜いていった。

「区議会議員候補の◯◯です。よろしくお願いします」 選挙カーに抜かれながら僕は、あと一週間なにをしたらいいのか、どこに行ったらいいのか、自問自答していた。




「センキョ割@葛飾」のはじまり

センキョ割@葛飾の発端は、7月末。 毎年の旅行から帰ってきた僕に一通のメールが来ていた。

「市長選のセンキョ割おもしろかった〜」

2017年07月30日投票の横浜市長選。

僕の友達はそこにセンキョ割スタッフとして参加していた。 

「センキョ割?なにそれ」

ぶっきらぼうに返したメールの返信に僕は心躍っていた。

「なにそれ?」

気持ちが動いた。

さっそくホームページを探してむさぼり読んだ。

わかりやすい仕組み、投票率アップという社会的意義、街の活性化という大きな課題への挑戦。

これは地元葛飾でもやるしかない。そう思った。



でも選挙いつよ?調べたら、11月12日にあるじゃん、葛飾区議選区長選。

ターゲットは決まった。

こういう気持ちの高ぶりには素直に従うことにしている。

そうじゃないと自分に後悔しちゃうからだ。



8月に入って、センキョ割スタッフと連絡を取り、話を聞いた。

お会いしたのはいずれも大学生や院生のボランティアだった。

誠実にそして合理的にセンキョ割を進めたいという心意気を感じて、11月の選挙でセンキョ割を行うことを約束した。

とはいうものの、やったことがない。

段取りとしては、参加する店舗を集めて、区民の皆さんに参加してもらう。 

そこだけは明確だ。 しかしどうやってお店を集める? どうやって区民の皆さんに参加してもらう?

葛飾が地元ではない、引っ越し組の僕としては地縁が薄い。 僕一人ではできないことは明確だった。


試行錯誤の始まり

僕が地域とつながっているツールは、フェイスブックしかない。

それとちょっとのツイッターとインスタグラム。 戦う武器はそれだけだ。

しかしながら、センキョ割は実店舗に働きかけるイベント。

お店としては生活の糧のひとつとしてセンキョ割に参加していただくことになる。

僕は仕事の合間にやるイベントだけど、中途半端な気持ちでは失礼だ。それだけは気をつけようと思った。

そうとなればまずは、ギョーカイの元締めへの挨拶だ。 8月の終わりに葛飾区広報課、商工会議所葛飾支部に「センキョ割」をやらせていただきます」と挨拶に行く。商店街連合会は都合が合わず結局会えなかった。

広報課の方は、以前から「若年層に選挙に行ってほしい」という声を聞いていたこともあり、センキョ割がその一助となれば、とお話をした。

このあと100箇所以上のお店や団体にセンキョ割の話をしに行くことになるのだが、あちこちで「それ、あんた利益あるの?」という質問を投げられることになる。

いやいや、平成も30年になろうという今、金儲けじゃないところで動いたほうがかっこいいでしょ?と自分に言い聞かせながらのセンキョ割活動でもあった。

前述したように、地縁のない僕一人では、センキョ割は失敗することはわかっていた。その危惧があったので、私が常駐しているFacebookで、事前に「センキョ割やるよ」と声をかけた。

Facebookで良くしていただいている皆さんは、大阪で言うコッテコテの、東京風に言えば生粋の葛飾っ子。うらやましいぐらいの葛飾っ子ぞろいだったからだ。「どこ中学出身?」なんて会話は、私の今後の葛飾人生でぜったいに起こらない会話だからだ。

9月の初旬にFacebookを通じて「センキョ割@葛飾キックオフミーティング」を開いた。

このミーティングに参加してくれる方々はいわゆるアーリーバードで、アンテナの鋭い方ばかりだった。ほとんどの方が最後まで、私を見捨てず協力してくれることになる。

まずはセンキョ割の説明からだった。 

「センキョ割?なにそれ?」 ぼくが7月末に友人に返したメールとおなじセリフが僕に降りかかる。

幸いなのは、仕組みがシンプルなこと。 投票に行く→投票済証をもらう→参加店舗で特典を受ける

「でどうやるの?」
「広め方は?」
「葛飾全部まわるの?」

キックオフミーティングは、試行錯誤のセンキョ割のはじまりだった。

9月半ば、センキョ割学生スタッフにホームページを整備してもらうととともに、Facebookを使って、センキョ割参加店舗の募集を始める。

参加してくれる店舗、あるのだろうか?

 しょぼい結果に終わるのじゃないだろうか?

でも漕ぎ出してしまった船だ。進むしかなかった。

店舗募集ステージのはじまり

募集から三日目。


はじめての登録は、堀切の「らくらく堂接骨院」さんだった。

「ウォ〜〜」 店舗登録のメールが来た時、おもわず叫んでしまった。

てっきり飲食店だと思っていたら、接骨院さんだ。

アポをとって仕事の休みの日にチャリで、センキョ割の説明をしがてら、ポスターをとどける。

院長さんはいい人だった。

僕は説明で帰ろうと思っていたのに、熱心に体の具合を確かめて接骨院の効用を話してくれた。信頼できるお店だと思った。

信じられるお店が第1号でうれしかった。

はじめのうちは、お花茶屋や堀切のお店の登録が多かった。

それはSさんのおかげだ。

毎晩?飲み歩いて、いいお酒の飲み方をなさっているSさんはこのエリアのどのお店にも好かれていた。

Sさんが「センキョ割参加して〜」といえば、ほとんどのお店が「はいよ〜」と言ってくれたのじゃないか?と思うくらい、飲み屋さんばかりだった。

でも私達の世代が募集をかければ、なにしろ葛飾区だし、飲み屋さんが多いだろうなぁとは想像していた。

Sさんのおかげで、すぐに10店舗を超えた。

9月中に店舗数を増やしていったのは新小岩地区だった。


区内有数の商店街ルミエールの先にある靴屋さんを営むEさんは、センキョ割をはじめるまで面識がなかったのだが、センキョ割のために最後まで尽力していただいた。

Eさんは、商店街のゆるキャラも担当しており、地元にはしっかりとした地縁の持ち主だった。

自分のお店はもちろん、商店街のあちこちのお店に声をかけていただき、参加を取り付けてきていただいた。

Eさんがいなかったら、新小岩地区はこんなにお店が増えななっただろう。

Eさんのおかげで20店舗を超えた。


僕ができることとといえば、ネットでの呼びかけだった。

Facebookはもちろん、InstagramやTwitterで、葛飾区のお店というお店にDMを送った。

おそらく300では済まない数のDMを送っただろう。

読んでもらえないDMも多かったが、それなりの反響はあった。

Ribbon Cafe81さんはDM経由で参加していただいたスクールの代表例だ。


柴又ベーカリーグッディストアさんも、センキョ割の意義に深く賛同していただいたお店の1つだ。

それ以外にもいろんなお店に登録していただいた。

インドカレー屋さん
老舗の居酒屋さん
若者に日本酒の良さを知ってほしい酒屋SAKEOHさん
カットもすてきな美容院さん
隅田川沿いにお店を構える和菓子屋さん「あまからや」さん
四つ木のおせんべい屋「掛矢」さん

地元のお店元気ないよね〜とはいうものの、まだまだ葛飾のお店、捨てたものじゃない。 センキョ割で葛飾の底力が見えたらいいな、と思うようになった。

もちろん、参加してほしいお店に店舗開拓にも行った。

私は職業柄営業をしたことがない。

パンフレットを持って、頭を下げてセンキョ割に参加してもらう。恥ずかしながら人生初体験だ。

「それ、どこで儲けるの?」

何箇所かのお店でそう聞かれた。

ん?儲ける?はじめからそんな気持ちはなかったから、こちらとしては意外だったが、お店としては当然の反応だろう。

「利益はないんです、ボランティアです」と素直に答えると 「物好きだねぇ」 との返事が返ってきたのは1つや2つのお店ではなかった。

しかし、自分も知らない葛飾の素敵なお店にたくさん出会えた。

店舗募集から2週間、9月末には30店舗になっていた。

毎週店舗分布の集計を取っていた。

9月末の時点で、スタートダッシュの効いた新小岩や堀切お花茶屋地区の店舗は多かったが、繁華街のはずの亀有や金町の登録がすすまなかった。

その後店舗数が増えた金町の特徴は、センキョ割の意義のひとつであった「若者の投票率向上」という点に賛同していただいた店舗が多かったことだ。

「うちはさ、20代30代限定でセンキョ割やるよ、いい?」

ぶっきらぼうな言い方だったけど、うれしかった。

ただイベントに参加するんじゃなくて、そこにやる「意義」をくれるお店が一店舗でもあったことは、その後の活動の糧にもなった。

しかしその裏には、むかしから地元のお店に足を運んでくれる、Facebookの友人の後押しがあった。

常連だったり、高校時代の友人がやってるお店だったり。

私には絶対近づけないお店ばかりを開拓してくれていた。

一方、亀有のお店は10月終盤になって増えていった。

マツエクのお店
ステーキ屋さん「&LIVING

思いがけなかったチェーン店のレストラン。このお店はアリオ亀有の店舗だった。

お店のAさんは「投票率の増加」という意義にとても賛同していただき「アリオ亀有全店で参加させましょう」とまで言っていただいた。

その言葉だけでも嬉しかった。

10月半ばには50店舗を超え、そうこうしているうちに試行錯誤の僕には

「これいつまで募集したらいいんだ?」

という疑問が湧いた。

投票日が11月12日、その前に参観店舗一覧パンフを印刷して、あちこち配布するとなると、

「店舗参加締め切りは10月31日かな?」 と素人考えにそう思った。

センキョ割の本部にその旨伝えると、

「パンフの印刷仕上がりは、11月9日ですね」

と言う?

ん?

そんな直前?

選挙は12日なんだけど。

考えが浅はかだった。

動ける範囲が限られる。

でもしかたない。

10月31日には、駆け込み参加を含めて70店舗が登録していただいていた。

気がつくとはじめの目的の1つだった「若年層むけ」のお店もかなり集まっていた。

ネットで一生懸命集めたが、やっぱり地縁のない限界があり、Facebookの友人の皆さんが集めていただいたお店も多い。

この場を借りて感謝したい。


区民の皆さんに使ってもらうステージのはじまり

お店を集める段階は、10月末で終了。

ここからは、センキョ割@葛飾を、区民の皆さんに広く知ってもらって、使っていただく活動に重点を置くことになる。

本当は、行政やいろんな業界団体の協力を得るべきだったのだろう。

しかしこちらも本業はサラリーマン。合間の時間にしか動けなかった。

ネットでは毎日しつこいようにセンキョ割@葛飾の宣伝だけはしていた。

Bufferを使って、1時間おきに店舗紹介するように登録した。

ホームページでも、参加店舗は検索できるようになっていた。

そのホームページの宣伝も毎日発信した。

11月には、かつしかFM「ムーディ勝山の受け流さないラジオ」でセンキョ割の説明をしていただいた。

投票日直前の11月10日には、東京新聞にも大きく記事にしていただいた。

さすが新聞記者さん、センキョ割@葛飾の特色をきちんと記事にしていただいた。


11月9日、参加店舗一覧パンフが手元に届く。

手元に届くと、さすがに、「ここまで来たんだ」という実感が湧いた。とともに、お店に対する責任感が重くのしかかってきた。

ネットとは別に、実際に配布する段階となった。

どこに配るか?人通りの多いところ?というのが素人判断だった。

11月10日金曜日、区内主要駅の駅頭
11月11日土曜日、ショッピングモールなど人の集まるところ
11月12日投票日当日、投票所

こんな計画で配布することとなった。

結果は。。。金曜日、土曜日、まったくの惨敗。

駅頭で配布するパンフレットは、ほとんどの人が受け取らない。

その辺のジョーシキがわからず計画してしまい、動員した皆さんにはご迷惑をおかけした。

テッシュでさえ渡そうとした人の半分が受け取らないご時世。ただのパンフレットなぞ受け取るはずはなかった。

めげた。

僕の人生でもパンフ配布は初体験だった。

もらってもらえないことが、こんなに気持ち的に参るとは思わなかった。

しかしながら、皆さんの機転で、ポスティングに変更していただき、結果的には印刷した3,000枚はすべて手許からなくなった。

11月12日投票日当日はちょっと違っていた。

12日は、いろいろな理由から区役所そばの立石中学校投票所のみでの配布となった。

あたりまえのことだが、投票所となっている場所に来る人は選挙に関心がある。

その人相手に配布するわけだから受け取ってもらえた。

朝7時の投票開始から、IさんとTさんの協力を得て、一日で400枚のパンフレットを配布した。


「投票済証もらってくださいね」

と言いながら配ったものだから、投票所のスタッフを慌てさせてしまったようで、投票済証のストックを増やして対応していただいた。

柔軟に対応していただいてうれしかった。

この日は朝7時から9時間、パンフを配布し続けた。

興味を持って貰える人も多かったのは幸いだった。

配り終えると、日没が近づいていた。

チャリに乗って帰りながら、投票のお終わりとともに、僕のセンキョ割の準備も終わりに近づいているのだなぁと思うと感慨深かった。

センキョ割の準備の終わりと次のセンキョ割のはじまり


11月12日、投票率は前回の41.67%から2%弱上がって43.62%となった。

葛飾区の有権者37万人だから、2%で約7,000人いつもより多く投票に行った。

この文章を書いているのは、2017年11月14日。

まだセンキョ割の真っ最中だ。

区民の皆さん、センキョ割使って、参加店舗廻ってくれているのだろうか?

センキョ割@葛飾、実施して良かったのだろうか?

その答えはまだ出ていない。

しかし、センキョ割の目的に賛同してくれる人たちは、思った以上にたくさんいる。

そして僕の中には、センキョ割を最後まで手伝ってくれたみなさんとの絆を深く感じている。

これが私の財産であり、これからの活動のエネルギーとなることを信じている。

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