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2019年10月21日月曜日

[大人の見学] 荒川が増水しないような仕組みがこんなに!荒川知水博物館に行ってきた![台風19号関連]



ミニベロのチャリ旅を兼ねて、岩淵水門まで行ってきました。

ここには、「荒川知水博物館」があります。

荒川の歴史、どうやって洪水に対応しているのか、などがわかりやすく説明されていました。

今回はそのレポートです。

荒川放水路はなぜできた?

放水路完成以前


荒川放水路が1930年に完成する以前は、上流からの水は都心に流れ込んでおり、増水時には、三ノ輪から浅草今戸に通じる日本堤、白鬚橋から言問橋の曳舟側に作られた墨田堤でせき止め、漏斗のように水量を調節していました。


これにより、下流域の水量は一定しても、上流域は水が溜まり続けるため正常化するまでに長時間かかりました。


放水路ができるきっかけ

明治43年の長雨により、この漏斗状の堤防が十分に機能しないことがわかり、首都東京に流れ込む直前の岩淵から22キロに渡って雨水を迂回させる放水路を建設することとなりました。


荒川に流れ込む雨はどこに降る?

ひとことで荒川、と言っても、長さ173キロメートル、流域2940キロ平米。


水域でいうとこんな感じ。

上流の方には、台風19号で放流か?と話題になった二瀬ダムも。


荒川源流点の碑、なんてものものあるんだって。

貯水機能:ダム

二瀬ダム

傾斜があり山がちな上流域は、水量調節のためにダムをおいています。
二瀬ダム、滝沢ダム、浦山ダム、玉淀ダムなどですね。

貯水機能:鴻巣の河原


鴻巣市のそばを流れる荒川流域は、日本一の川幅を誇ります。2537メートルあります。

これは上記の赤い部分を、洪水時の貯水機能として働くようにしています。赤い縁にそって堤防が作られています。

日頃はコスモス畑などになっているようですが、今回の貯水により、10月26・27日に開催予定であった第21回コスモスフェスティバルについては、中止になってしまったようです。

貯水機能:荒川調整池


日頃は彩湖と呼ばれているこの湖、荒川第一調整池と言います。

水量が増すにつれて、写真の上の部分から貯水していくしくみです。

初回の稼働となった1999年のときにはこの調整池に2070万トン貯水したおかげで「荒川下流部で一番低い京成押上線荒川橋梁地点で水位を39cm下げたとされ、ここより上流での洪水調節がなかったとすると、水位は桁下まであと7cmに迫ったと考えられている」(wikipedia)とされています。

今回の台風19号で、1997年の完成以降2度めの稼働となり、3000万トンほどの貯水をしたそうです。効果については検証中とのことでした。

また、上流部に、第二第三調整池を建設中です。

貯水機能:首都圏外郭放水路

江戸川河川事務所HP
首都圏外郭放水路の機能については、こちらを参考にしてください。

荒川本流に流れ込む水を途中で地下道に流し込み、江戸川に逃がそうという機能を持ちます。

こちらは年に数回稼働している施設ですが、台風19号関連では、1秒間に25メートルプール一杯分を江戸川に流し込み続けたそうです。機能としては、いっぱいいっぱいだったようです。

以前のブログ記事でも書きましたように、今回の台風19号は岩淵水門で1日に200ミリ程度の雨が降りました。葛飾区のハザードマップでは三日間で549ミリの雨が降ることを想定していますので、台風19号並の雨が2日半降り続くこととなります。

しかし、荒川の増水を抑える、このような機能は台風19号1日だけでも「いっぱいいっぱい」でした。ハザードマップの549ミリを待つまでもなく、荒川は越水するのではないかと心配しています。

2019年10月13日日曜日

[大人の台風19号] 首都圏の治水をコントロールしてくれた皆さん、グッドジョブ!ありがとう!【ハビキスHAGIBIS】

tenki.jp

台風19号が通り過ぎていきました。

発生した時から「過去最大級」「30年に一度」と言われた台風19号。

台湾や沖縄の人たちからも「これはでかい」と言われた台風19号。

10月13日の朝、関東地方を通り過ぎていきました。

なにしろ葛飾を含む城東地区は川が多く、1947年のカスリーン台風を持ち出すまでもなく、昔から水害の街。

12日の朝から「どれだけ雨が降るのか」「荒川が決壊するのではないか」「避難先はあるのか」と気をもんでいました。



30年に一度の過去最大級台風

12日午前中から静岡県を中心に川の決壊や災害を発生してきており、「二日間で年間の三割の雨が降る」と言われる超大型台風が実感されてきました。

ウェザーニュースより

左の台風15号は先月千葉に大きな被害をもたらした台風。台風19号はその何倍もの大きさがあり、これはもう来る前から恐怖でした。

しかし、結果的に東京城東地区には大きな浸水や水害がなかったことには、国土交通省関東地方整備局をはじめとする治水関係者の皆さんの見えない努力があったようです。

台風前はダムの貯水率を半分以下にしている

まだ台風が上陸する前、12日午後早くから荒川上流の「二瀬ダムを放流する」と報道がありました。


ダムの放流は川の下流域に膨大な水量を流すため、洪水の被害が予想されました。

このとき荒川はすでに氾濫危険水位にあり、二瀬ダムの放流で「荒川決壊は決定的」と思いました。

「放流するなんて無謀だ」

そんな声もありましたが、じつはダムも台風前には貯水率を半分以下にして、十分に雨水を溜め込めるよう準備もしているものです。

二瀬ダムの場合、2019年06月は毎日15,000,000立方メートルの貯水量を維持していますが、10月に入ってからは7,200,000立方メートルしかありませんでした。

それでも、豪雨によって貯水量が増え続けたために、やむを得ずの放流計画だったのですね。

結果的に放流を中止したのも、治水管理者の賢明な判断だったのでしょう。

水門を開けるのか閉めるのか

今井水門

10月12日午前中、早い時間帯から江戸川区の新中川西側一帯に避難勧告が出ました。

「やけにはやいな」

と思った方も多かったのではないでしょか。


これは今井水門を閉じたための措置だったようです。


今井水門は、旧江戸川との合流地点にあり、高潮や津波から江戸川区を守るためにあります。

中川の水量は上がり続けていましたが、江戸川との水量調整や高潮対策で、今井水門を閉じたようです。

岩淵水門

12日夕方には、岩淵水門が閉じられました。


これは隅田川の水位が上がり、テラスの上まで水が来てしまい、レベル5の警戒水位となったことによる措置でした。

岩淵水門を閉じることによって、隅田川に流れていた水が荒川に迂回することとなります。

もともと荒川放水路と呼ばれており、隅田川が氾濫しないように作られた荒川ですので仕方ないのですが、荒川近隣の足立区葛飾区としては、水量が増えてしまい緊張感が増すこととなりました。

今井水門が閉じられたことで中川の排水量が減り、岩淵水門が閉じられたことで荒川の水量が増えてしまいましたが、そのタイミングや閉じる時間帯などは、治水管理の専門家の絶妙なコントロールだったようです。

今回も稼働した首都圏外郭放水路


川は上流の細い川が合流を続け、荒川や江戸川のような大きな川となって葛飾区を通り過ぎていきます。

今回のような大型台風時の雨量があると、山沿いに降った雨が集まってくるだけでも膨大な水量となり、下流域では氾濫の恐れがあります。

それを防ぐために、都心に流れ込む前の中小河川の水を事前に集めて、江戸川に流し込む施設が春日部にあります。


引用)首都圏外郭放水路は、洪水を防ぐために建設された世界最大級の地下放水路です。中川、倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川といった中小河川が洪水となった時、洪水の一部をゆとりのある江戸川へと流すことができます。

中川・綾瀬川の流域は、利根川や江戸川、荒川といった大きな川に囲まれています。この地域は、土地が低く水がたまりやすいお皿のような地形となっているため、これまで何度も洪水被害を受けてきました。また、川の勾配が緩やかで、水が海まで流れにくいという特徴があり、大雨が降ると水位がなかなか下がりません。さらに近年では、都市化が急速に進み、降った雨が地中にしみこみにくく、雨水が一気に川に流れ込んで洪水が発生しやすくなっています。

首都圏外郭放水路の完成によって、周辺地域で浸水する家屋の戸数や面積は大幅に減り、長年洪水に悩まされてきた流域の被害を大きく軽減しました。(引用終わり)


今回もこの施設が稼働し、葛飾区の中川や綾瀬川に流れ込む前に、水量を調節しました。この施設で毎秒25メートルプール一杯分の水量を江戸川に流し込めます。世界最大級です。

まとめ

温暖化のせいでしょうか。毎年ひどくなってきている水害ですが、このように首都圏の治水を守る国土交通省関東地方整備局を始めとする職員の皆さんが、徹夜で川の流れのコントロールをしてくれているからこそ、今回も大きな被害がなく台風が通り過ぎていったのだと思います。

見えない努力が私達の生活を守っています。

ありがとうございます。