荒川下流河川事務所HP |
今日は記事長めです。読了に5分程度かかります。
目次
ネットニュースに荒川橋梁の記事がありました
先日ネットのニュースに、京成本線の荒川橋梁の建て替えが本格化してきた、という記事がありました。
【概算建設費は284億円】記事の中の赤字の部分、気になりますよね。
関東地方整備局荒川下流河川事務所は、東京都葛飾区~足立区間で計画している京成本線荒川橋梁架替事業の詳細設計を2017年度に終える予定だ。
詳細設計は足立区側分のみ残っており、近く京成電鉄に委託する。設計を終えた葛飾区側は17年度に用地調査(測量、家屋調査)を実施し、18年度以降、用地交渉に入る見通しだ。
(中略)
荒川と綾瀬川にまたがる現在の京成本線荒川橋梁は、堀切菖蒲園駅(葛飾区)~京成関屋駅(足立区)間にある。橋梁下の堤防は、周辺の堤防より約3.7m低く、洪水時に危険性が高い。
このため同事務所は、現橋梁の北側に周囲の堤防より高い位置に長さ約1500mの新たな橋梁を架ける。架替工事や既存橋梁の撤去工事は京成電鉄に委託する。時期は未定。
同局が15年10月の事業評価監視委員会で示した概算建設費は284億円。費用対効果試算のために設定した架替工事スケジュールは18年度の着工、24年度の完成となっていた。 (建設通信新聞)
葛飾区民にとって災害時の荒川の堤防決壊の危険は最小限にしてほしいところです。全体的にしっかりした堤防が作られても、この京成本線の荒川橋梁だけが3.7メートル低いのではそこから決壊する危険もあるのでしょう。
そんなに低かったっけ?
というわけで、橋を見に行ってきたよ。
京成本線荒川橋梁を見てきたよ
堀切橋から京成本線の荒川橋梁を見たところ。
すでに車道の堀切橋から見下ろす感じになっていますね。
ちょうど京成線が綾瀬川に掛かる橋を渡っています。
先頭車両が土手の堤防のところにありますが、たしかに線路の左右は坂になっていて、堤防の高さが下げられちゃってますね。
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しかし、なんで堤防より低いところに線路があるんだろ?
線路が堤防より低くなったわけ
①②荒川放水路、京成本線の完成
荒川放水路(現在の荒川)が完成したのが1930年。開通直後の荒川鉄橋 |
京成本線(日暮里ー青砥)が開通するのは翌年1931年12月。
このときは堤防の上に線路があったのです。
③地盤沈下
しかし戦後の高度成長期、工場などでの地下水の汲み上げで荒川周辺は地盤沈下が進みました。最大4.5メートル沈下したそうです。荒川堤防も京成橋梁も同じように沈下したため、鉄橋が水面スレスレになったこともあったようです。
④土手の堤防は嵩上げされたけど
その後、土手の堤防は嵩上げされていますが、鉄橋の高さを変えることは難しく現在に至っているんですね。
っていうことは、1931年からかけ替えられていない橋ってことか!
荒川橋梁ってどんな橋?
そもそも、荒川橋梁ってどんな橋なんでしょうか。
wikipediaによると、
開業時より現在に至るまで、本橋梁は両端が1スパンの単線上路式プレートガーター橋、中間が1スパンの複線下路式平行弦ワーレントラス橋である。トラスは東京石川島造船所製である。
とあります。
プレートガータ橋
wikipedia |
横にかけた橋桁によって橋面を支える方式で作られた橋のことである。橋を支えるためにアーチなどの特別な構造体を用いない橋であり、橋の途中に橋脚を設ける場合と設けない場合がある。
ワーレントラス橋
wikipedia |
トラス橋(トラスきょう)は、桁部分にトラス構造を使った橋である。トラスは細長い部材を両端で三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して桁を構成する。トラス橋は桁橋の一種に分類される。
そうかつまり、
川の真ん中にかかっている、橋の上に三角の鉄材が組まれた橋がトレス橋で、
橋の両端にある、橋桁だけのがプレートガータ橋なんですね。
なんだか橋ヲタクになりそうな予感。
荒川が舞台の名作に鉄橋が映っていた!
荒川土手、といえば「3年B組金八先生」ですよね。でもこの橋、京成荒川橋梁ではありません。
もうひとつ上流の、東武スカイツリーラインの鉄橋ですね。
小津安二郎『東京物語』 |
周吉(笠智衆)と妻のとみ(東山千栄子)が、息子の住む堀切にやってきます。
とみは孫のいさむと荒川土手で遊んでいます。
「いさむちゃん、おおきゅうなったらなにになるん?あんたもお父さんみたいにお医者さんか?あんたがのぉ、お医者さんになる頃にはおばあちゃん、おるかのぉ」
孫のいさむは終始無言ですが、いさむの背景には鉄道の橋が映っています。
プレートガータ橋にワーレントレス橋!
この橋こそは、京成荒川鉄橋ですね。
この橋ももうすぐ架け替えになりそうです。なくなってしまうのは惜しいですが、住みよいまちづくりには仕方のないことなのかもしれませんねぇ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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