2018年6月21日木曜日
[大人のエッセイ] ごみはキチンと出しましょう【修羅場目撃!】
昨日の朝は生ゴミ収集の日だった。
うちの向かいの学生寮のゴミの出し方がだらしなく、格好のカラスの餌場となっていることが昨日も気になっていた。
学生寮の通いの管理人がゴミを出し終わったのが、うちの二階のベランダから見える。
「またネットからゴミがはみ出てるよ」
学生のゴミの量が半端なく多いことは理解している。ネットの中にしっかり入れてほしいと、何度もお願いしているのだが、あの管理人の性格だろうか、ほとんど毎度ネットに入りきれていない。
ベランダ越しにみえる電信柱にカラスが来た。
「かぁぁあああぁ」
なんとも意味ありげな鳴き方だ。
「朝飯はっけ~~ん」
とでも言っているのだろうか。
憎たらしいカラスめ。
G(察してください)もそうだが、なぜ黒いのだろう。
街路に人がいないことを確認して、一羽のカラスが学生寮のゴミの近くに降り立つ。
あたりを見回す。
とりあえず、悪いことしている、という認識があるようだ。
いや、ないだろう。
うん、ない。
つん、つん、と両足飛びで防鳥ネットに近づくと、カラスははみ出したゴミ袋をつっつく。
くちばしでなにかを掴んで、引っ張り出そうとしている。
ひっぱりだそうとしているのだけど、なにかにひっかかってうまく取り出せない。
カラスは周囲を気にすることなく、ゴミを引っ張ることに集中していた。
事件はそのとき起こった。
街路の右の方から防鳥ネットに、一匹の猫が近づいてきた。
近づいてきたと思ったら、あっという間もなく、カラスに飛びかかり首に齧りついた!
不意をつかれ、大きく羽を広げてバタつくカラス。
こんな大きな羽だったかと思うほどりっぱな羽を広げて、現状から飛び立とうとする。
羽根を広げると明らかにカラスのほうが大きいが、猫も首根っこから離れない。
「うぉぉぉうぉぐぅぅぐぐ」
猫とは思えない低く唸るような声を上げたかと思うと、猫はありったけの力で大きく首を左右に2,3回振った。
そのはずみでカラスの頭が街路のコンクリートに叩きつけられ、カツンという音をたてたかと思うと、ぐったりと動かなくなった。
猫の勝ちだった。
猫は、カラスの首根っこに齧りついたまま、移動を始めた。
カラスも小さくない。
猫はカラスの胴体の一部を引きずりながら、どこかへ運んでいく。
僕にとっても突然の出来事だった。そして一瞬にして決着がついた。
ベランダ越しにそのうしろ姿を見送りながら僕は、自然界の食物連鎖を目の当たりにした驚きで、ちょっとの間動けなかった。
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