2016年6月10日金曜日

[大人の災害] 今日はちょっと真面目な話題。葛飾にいると大雨はドキドキしますね。大雨で荒川決壊はあるのか?調べてみた。

葛飾区郷土と天文の博物館HPより

Huffington Postの記事

ネットニュースのHuffington Postは年末の記事で、こう記しています。

東京に迫る"荒川決壊"の危機 1400万人に影響も

(記事引用)
内閣府による荒川決壊の想定雨量は72時間で550ミリ。鬼怒川が決壊した東日本豪雨災害では72時間で610ミリの雨が降っているのだから、いつ起きてもおかしくない雨量だ。
決壊からわずか30分で、あっという間に濁流は街を飲み込み、2キロ先まで浸水してしまう。さらに氾濫した濁流が他の河川に流れ込むことで浸水範囲は加速度的に拡大し、わずか2時間足らずで決壊地点から5キロ離れた場所まで押し寄せるのだ。そのときの水深は最大5m近く。

相変わらずセンセーショナルな記事で不安を掻き立てますが、荒川と江戸川の間に挟まれた葛飾区に住むわれわれにとっては他人事ではないですね。

実際に荒川決壊は起こるのでしょうか?




東京都と埼玉県の雨量

内閣府による荒川決壊の想定雨量は72時間で550ミリ

72時間で550ミリと言われても、ピンと来ないですねぇ。


そこで、実際に「アメダスの降雨量ランキング」 から、東京都の水量を抽出してみました。

観測所 降水量 開始日時 終了日時
小沢 507 2007年09月04日07時 2007年09月07日06時
小沢 591 2001年09月08日14時 2001年09月11日13時
小河内 639 2001年09月08日15時 2001年09月11日14時
小河内 694 2007年09月04日06時 2007年09月07日05時
大島 824 2013年10月15日09時 2013年10月16日07時

ちなみに「小沢」とは東京都西多摩郡檜原村のことです。また、「小河内」とは東京都西多摩郡奥多摩町のことです。


いずれも、東京の山奥か太平洋の島の数値ばかりですね。


それもそのはず、アメダスの都内の観測点のほとんどが山奥か島になっているからなんです。


それに考えてみたら、江戸川も荒川も隅田川も上流に遡れば埼玉県です。


そこで埼玉県の過去の水量を抽出して見ました。

観測所 降水量 開始日時 終了日時
三峰 544 2007年09月04日22時 2007年09月07日21時
浦山 554.5 2011年09月01日04時 2011年09月04日03時
三峰 577 2001年09月08日15時 2001年09月11日14時
浦山 604 2007年09月04日20時 2007年09月07日19時
浦山 741 2001年09月08日15時 2001年09月11日14時


こちらの地名は「裏山」「三峰」ともに秩父市です。






一見、浦山も三峰も葛飾区に関係なさそうですが、地図を辿ってびっくり!


いずれも荒川の上流じゃないですか。


そしていずれの記録も、500ミリを超える降水量。


これらすべてが荒川に流れるわけではないでしょうけど、秩父から荒川を下って行くと入間川とも合流していますし、なんとも危なっかしい水量を抱えている川であることがわかります。


72時間で550ミリもまんざら超えない数値ではなさそう。要注意ですね。



そして荒川は、戸田の競艇場あたりを過ぎると赤羽駅のそばで、岩淵水門を迎えることになります。




にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 葛飾区情報へ
葛飾の記事がいっぱい

岩淵水門の役割


岩淵水門は、葛飾区民にとって大事な水門です。


結論から申し上げて、岩淵水門が開いているか閉まっているか、台風の時などはいつも気にしておく必要があります。


岩淵水門は、荒川と隅田川の分岐点にあります。


大雨の際に、隅田川に流れ込む水量をコントロールするためにある水門です。


隅田川沿いの街を水害から守るために作られた水門と言ってもいいでしょう。荒川沿いの街を守る水門ではありませんのでご注意。


では、隅田川に流れ込まなかった水はどこにいくのか?


上流からの大量の水量を伴ってそのまま荒川に流れることになります。


国土交通省としては、都心に近い地域から守っていくという計画なのでしょう。




荒川の災害対策
荒川の決壊について国土交通省は、5つのケースを想定しているようです。
  1. 元荒川左岸の決壊(大宮台地)
  2. 荒川左岸低地氾濫(大宮台地)
  3. 入間川合流地点上流氾濫
  4. 荒川右岸低地氾濫(入間川合流から旧綾瀬川あたりまで)
  5. 江東デルタ貯類型氾濫(旧綾瀬川から下流域)

このうち葛飾で心配になるのは、2です。荒川左岸が決壊した場合、被害人口が100万にを超える災害を想定しています。


葛飾では水元から南、中川までが浸水します。




荒川下流河川事務所のホームページには、4つの対策がのっています。

  • 堤防強化対策
荒川下流部の堤防は、河川水や雨水による浸透に対する安全性が不足している区間が約21kmあり、台風などにより大雨や洪水が発生した場合には、浸透により堤防が決壊する恐れがあります。早期に堤防の浸透に対する安全性の向上を図るため「堤防強化対策」を行っています。

  • 高規格堤防整備事業
高規格堤防は、現在整備されている堤防の計画規模を超えるような極めて大きな洪水が発生した場合でも、堤防が決壊することを防ぎ、洪水の氾濫により沿川市街地に壊滅的な被害を引き起こすことがないよう従来よりも幅の広い堤防の整備を行う事業です。
  • 中堤改築
中堤の護岸の老朽化対策と堤防の嵩上げにより、洪水・高潮に対する安全性の向上を図ります。
荒川左岸堤防の下流部(0~7k区間)は、通称「中堤」と呼ばれ、荒川と中川の川の流れをスムーズにするほか、中川左岸堤防と相まって高潮防御機能を有する重要な堤防です。
  • 京成本線荒川橋架替
京成本線荒川橋梁付近の堤防は低い状態にあります。増水時には水が溢れて堤防が決壊する危険性があるため橋を架け替え、流下能力を向上します。


いずれも、完成をしているものではありません。


今後も治水対策には目が離せませんね。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメント大歓迎!